THE END OF SAMURAI BLUE 破

勝利は、敗北の始まり。
敗北は、現実の続き。
そして、再会は、夢の終わり。




サッカー、好き?




賞賛は、偽り。
真実は、痛み。


溶け合う心が僕らを壊す。


敗北・不安・期待・劣化・献身・同調・分離不安


残酷な客観
不安な主観


快楽の守備
現実の、PK


ツヨイって、何?
私は、何?


私と、ベスト4になりたくない?




DoYouLoveFootball?




彼と彼らは、助け合い、傷つき、倒れるまで、守るしかなかった。
曖昧さは、サッカーの真実を傷つけ、現実は、彼らに偽りの安らぎを与えた。


続きすぎた歓喜
磨り減った狂気。


全ては必然の惜敗だったのかもしれない。





「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったんだ!」


「はじめから自分の勘違い、勝手な思いこみにすぎないのに」


「僕の応援なんていらないんだ。だからみんな消えちゃえ」


「では、その手は何のためにあるの」


「僕が応援してもしなくても同じなんだ。何も変わらない。だからみんな消えちゃえ」


「では、その心は何のためにあるの」


「むしろ応援なんてしないほうがいいんだ。だから、僕も消えちゃえ」


「では、なぜここにいるの」


「夢を見ても、いいの?」




−無言−




「サポーターの反応が、『サッカーのようななにか』に飲み込まれていきます!」
「『感動をありがとう』がさらに拡大。選手がスポイルされていきます!」
セルジオ臨界点を突破!」
「だめです!このままでは代表のブランドが維持できません!」
「海外への扉が開かれる・・・代表の伝統と権威の鎖が、ついに解けてしまうか」
「サポーターが、あんなに居たサポーターが消えていく・・・」
「日本はただの市場でしかない。よい。全てはこれでよい。」


「ここは?」


「ここは国立競技場、日本サッカーを体現化した総合競技場。
ワールドカップを失った、プライドを失った世界。
どこまでが真剣勝負で、どこから親善試合なのかわからない、曖昧な世界。
どこまでもサッカーで、どこにもサッカーがなくなっている、脆弱な世界」


「ワールドカップは、なくなったの?」


「いいえ、サッカーは数あるスポーツのひとつになっているだけ。
これがあなたが望んだ世界、そのものよ」


「でも、これは違う。違うと思う」


「ワールドカップの存在を今一度望めば、再び世界の壁が私達を引き裂くわ。
また、アジアでの恐怖が始まるのよ」


「…いいんだ。ありがとう。
あそこでは、負けることは許されなかった。
だから親善試合でごまかした。
でも、親善試合に熱くなることはなかった。
だって、熱がないもの。そこはサッカーがないのと同じだもの」


「再び世界が君や選手を傷つけてもいいのかい?」


「・・・・・・・かまわない。
でも、ボクの心の中にいる君たちの存在は何?」


「希望なのよ。
いつか勝てるかもしれない、という」


「夢、という言葉と共にね。」


「でも、それは見せかけなんだ。自分勝手な思い込みなんだ。
『祈り』みたいなものなんだ。
ずっと続くはずないんだ。
いつかは裏切られるんだ。
でも、僕はもう一度応援したいと思った。そのときの気持ちは本当だと思うから・・・・・」




笑顔。




「ワールドカップは届かないところにある。
夢はワールドカップの中に・・・・・」


「日常はJリーグの中に」


「人の心がそれぞれのサッカーを作り出している」


「そして、新たなイメ−ジがその人のサッカーの形も変えていくわ。
イメ−ジが、創造する力を、自分のサッカーを、時の流れを・・・・造り出しているわ」


「サッカーは、自分自身の意志で動かなければ何も変わらない」


「見失ったものは自分の力で取り戻さなければならない。
たとえ、自分の言葉を失って、他人の言葉に取り込まれても。
自らの心で自分のサッカーをイメージできたら、誰もがみんな『サポーター』に戻れるわ」


「心配ないわよ。
全ての選手には勝とうとする気持ちがある。
代表という名で戦える心がある。
戦おうとさえ思えば、どんな試合だって熱くなれるわ。
だって、サッカーなんですもの」


「ボールとゴールがある限り、大丈夫。」


「もういいのね?」


「勝つってことがどんなことなのか、まだ分からない。
だけど、サッカーに夢を見て、代表を応援してみてどうだったかは、これからも考え続ける。
それも当たり前のことに何度も気付くだけなんだ。
何もできない、何も与えられないくせにそれでも熱くなる身勝手な心。
でも、それがサポーターだと思うから」




   岡田監督にさようなら。


   オシムにありがとう。


   そして全てのサポーターに


    「おめでとう」




    「おめでとう」