蹴音

三浦知良(笑)
KING(笑)


僕ら世代は誰もがコイツを一度は好きになり、嫌いになったと思う。
アジアで勝ち始めた日本の象徴であり、世界との壁を感じさせた選手の代表。
中田英の時代が到来したあの時期、誰もが『早く引退しちまえよ』と思ったはずだ。


プレースタイルもはっきりいって好きではない。
どちらかと言えば、万能型で基本的にセカンドストライカー
そのネームバリューと強い矜持のせいでFWとしてしか生きられない。
めんどくさいし、つかえない。
ウィンガーのまま、続けていけばどうだったかな。


しかし、プレイヤーとして、人間としてみれば、尊敬するとこしかない。
スター選手として輝いた時期がある人間は、その影に耐えられないのが普通だと思う。
優勝争い、得点王、あるいは正真正銘の絶対に負けられない試合。
モチベーションを上げる材料は山ほどある時代。
そして、今、試合に出れない日々と動かない体。
精神を高揚させてくれるものは数えるほどの、外部からのプレッシャーがない日々。
もういいやって思うだろう。
もういいよって言われるだろう。
それだけのことをしてきたんだから、実際、もういいって思う。
けれど、やる。
金も、楽しいことも山ほどあるのに。
外部からの刺激なしに、自分の中のエネルギーだけで、やっていく?
変態だ。


バカなのかな。
バカなんだろうな。


そんなわけで、思わず買ってしまった三浦和義名言集。

蹴音―三浦知良伝説の言葉
蹴音―三浦知良伝説の言葉三浦 知良

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まさしく、彼はサッカーキチガイ
戦う相手は常に自分自身。
許してないんだって、自分を。
KINGと呼ぶにふさわしくないその姿。


「みんながオマエをKINGと呼ぶのに、ずっと違和感を感じてきた。
こんなにわがままな王様がいるのかって」


「オレは王様(キング)ではなく挑戦者(チャレンジャー)だ!」


酒巻玲於奈的な。


わりと内容がスッカスカなので読むには耐えません。
が、泣きそうになるとこもしばしば。


「日本代表から外されたからといって、サッカーをやめる理由にはなりません」


「俺たちはこんなところでは死ねない。こんなところじゃ死ねねーんだよ!」


「結論は、がんばろうということになる。」


「ボールにぶつけるのは魂の大きさだと思う」


ちょっと、泣いた。


そして、この誰かの妄想が現実のものになるなら、一回くらいW杯を捨ててもいいような気がする。
だって、今の代表に、コイツほど勝ちたいと思い続けた選手がいるなんて、思えないから。

実況 NHK:山本浩

 
  彼ほど悔しい思いをしたサッカー選手がいたでしょうか
  彼ほど非難の的になったサッカー選手がいたでしょうか
 
  自分の力ではどうにもならない悲しさ、
  異国の地で孤独に押しつぶされそうになった夜
  彼はそれらを全て前に進むためのエネルギーにしてきました。
 
  今、彼ほど日本中から愛されている男はいません。
  そして、彼ほどサッカーを愛している男はいないでしょう。
 
  彼は1人ではありません。
  彼が胸の前で握りしめている拳の中には我々の魂が握られています。
 
  キングの称号を持つ男が、今ピッチの中へ走り出していきました。
 
  三浦知良、ワールドカップ、デビュー戦です。


読み終わったので、貸し出します。
ただ、読み応えはゼロ。