サッカーマガジンにのってた

真夏の夜の夢」   茨木のりこ


  あらゆるスポーツは栄え
  この疑似戦争は
  五万十万の目に曝されて
  後ろ暗い怨恨はなにひとつ残らず消える
  資源とてなにひとつない
  東方の小島
  捻ろうと思えば赤子の手を捻るように
  たやすく圧殺できる小島が
  エネルギイに満ち溢れて
  若い蚤のようにとび跳る
  つぶそうとする熊どもをかわし
  みずからの智慧でとび跳るのは
  哄笑に値する喜劇だった
  彼らは青年の文明を保ってはげしく燦めいた
  かれらが敵と挑んだもの
  それは一切をを風化させ駄目にする
  あの「時間」そのものだった